自分の強みはなんですか?

久しぶりに良書に出会った。

最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと

最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと

マネージャーとリーダー。よく混同されることが多い(特に日本企業では)両ポジションにおいて、成功したマネージャー、リーダー達は何を考えていたのか、と言うのを分析した本。

結論はよく知られていることだし、本を読むべきだと思うので書かない。それよりも個人的に印象に残ったのは、個人が継続的に成功するための「たったひとつのこと」である。

よく言われていること

就職面接でよくある質問。(と言うか、毎期の面談でも同じようなことを質問されてる)

Q: あなたが考える自分の長所と短所を教えて下さい。

ボクは、このように答えた記憶がある。

長所は、好奇心が強く広いことです。なので、どのような分野に対しても強い興味を示して、仕事に取り組めると思います。
反面、短所は突破力が弱いことです。

そう。突破力が弱い。これは大学の頃に研究を始めた頃から思ってたことだ。どうも一つの事に対して集中しきれない。1年も同じ事に取り組んでいくと、壁の一つや二つに遭遇するが、どうにもその壁を突破できない。

それに対して、同級生たちは、それぞれに悩み苦しんで、そして切磋琢磨して、この壁を突破する力を身に付けており、それにボクは大きな劣等感を感じていた。

M2の春。工学系はどこでも同じだと思うが、進学するか就職するか非常に重要な時期である。ボクは迷いもなく就職の道を選んだ。それは、突破力が自分にはないとその時点でわかっていたからだ。

ボクには、3年間(最低)研究をして、その領域に対しては世界一の研究者になれるだけの突破力は持っていない。それに対して、周りの意見はどうだったか? 「あれ?ドクター行かないんだ」と言う反応が多かった。しかし、教授だけはボクの特性を見抜いていたのか、就職を許可してくれた。

教授にはわかっていたのだろう。ボクがスペシャリストではなく、ジェネラリストに向いていることが。

就職してから

就職してからも、突破力のなさはコンプレックスになっていた。毎期の目標面談でも業務外の目標で「突破力をつける」と言うのを掲げていた記憶がある。

ある時期、PLLのジッタ解析に取り組んでいたことがある。いい線まで行けてたと思う。実測とシミュレーション結果がそれなりに合うところまで来た。しかし、もう一歩足りなかった。理由はわからなかった。論文を読んだり、社内レポートを片っ端から当たってみたけど、どのモデルが足りないのか行きつくことができなかった。ボクはそれが自分の突破力のなさだと思った。

その時、ある設計者にめぐり合い、その時にレポートをもらった。「あっ、これか!!」とモデル化(正確には変換式なのだが)に足りていない要素を見つけ出した。正直、やられた、と感じたのだが、そのやり方だと非常に効率化が悪かった。そのため、その手法を効率化する方法を設計者と一緒に考え、プログラム化し、結果として、その手法が広くPLLの設計に使われるようになった。

その時から、私の見方が少しづつ変わった気がする。自分の弱みは突破力のなさだが、その時に(壁にぶつかったときに)、壁を乗り越えようとするのではなく、壁を別の視点から見ることができる能力があるのではないか、と。そして、その視点を持つためには、より広い知識が必要なのではないか、と。

自分の強みは?

マーカスの本に戻ろう。継続的に成功し続けるたったひとつのことは何か? それは、自分の強みを活かした仕事をすることである(手元に本がないため、正確な言葉ではないかもしれないが)。

なぜか? それは楽しいからだ。自分の得意領域で勝負するのは楽しい。逆に自分の苦手領域での勝負は楽しくない。そして、苦手領域を潰すための勉強も、また面白くなく、捗らない。

では、自分の強みは何か? そして今まで手応えを感じた仕事は何か?

  • 強み: 広い視点で問題を分析して、解決策を導くことができること。
  • 手応えを感じた仕事: 設計者とタッグを組んで、開発したツール。

4年前の仕事では、このような分析とは真逆の仕事をした。そして、成功を勝ち取ることはできなかった。

その理由がマーカスの本を読んでわかった気がする。

今年で35である。一つの仕事が5年周期とすると、残り5サイクルしかない計算になる。自分の弱みを潰すよりも、自分の得意領域をもっと主張して、強化していった方がいい。

そう感じさせてくれた本である。