『ツレうつ』を読みました。

文庫本が出ていたので。

ツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)

ツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)

その後のツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)

その後のツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)

うつとは無縁ですか?

ボクには知り合いに3人ほど欝になった人がいる。うち二人は研究室の同級生と先輩。その同級生とは、実は今は同じ会社。先週も飲んだりしてた。

しかし、ボクが結婚式を挙げるとき(2004年12月)、彼はまさに欝になろうとしていた。結婚式にも招待したのだが、そのときはIEDMで発表しないといけないから、と言う理由で断られたのだが、その後、欝を発症してしまったらしい。

あの研究室は、本当に辛かった。ボクも大学3年からその研究室に入ったが、見事に人格を破壊された。今では、そうやって本気で怒ってくれる人がいた事に感謝しているが、あの当時は、そのように考えることはできなかった。刺したい、と思ったことすらある。おそらく同級生も同じ思いではないだろうか。そして、ボクは、同級生が一番ヘルプを欲しがっているときに、何もすることができなかった。

中学の同級生

もう一人、ボクはあまり親しくなかったのだけど、中学の同級生(同じ部活)にI君と言う人がいた。当時からあまり気が合わなかったので、一虬に遊びに行ったりした記憶はなかった。その後、大学で6年間仙台の方に行って、中学の同級生とは連絡をほとんど取ることもなかったため、彼のことが頭に浮かぶことはなかった。

大学院修士を終了して、ボクは関西に戻ってきた。明確な意図はなかったけど、何となく両親の近くにいたかったのだろう。だからと言って、親と同居はしたくなかったので、三田にある寮に住んでいたわけだが、それでも月に何度かは神戸の実家に帰っていた。その時、たまたまI君の友人のT君と会うことがあった。

「今、Iがうつ病やねん。お前も忙しいんやろうけど、たまには会いに行ってやってくれへんか?」とボクは言われた。確か、2003年ぐらいだっただろう。当時、ボクは今の奥さんと付き合っており、「そんなんに付き合ってられるほど暇ちゃうし、何かめんどいわ〜」と言う感じで、彼の要望を断っていた。その後も何度か電話で催促されたような気もする。

もういつだったか覚えていない。彼からの電話。「I、2ヶ月前に首吊って死んでん。」その時ですら、ボクは「ふ〜ん」と言う感覚だったような気がする(もちろん、言葉にはしていない)。

当時、ボクはうつ病は心が弱い人間が甘えからなるものだと思っていた。なので、何の同情も払うことはなかった気がする。しかし、今になって、うつ病の事を知るほどに後悔している。ボクの力で、彼を自殺から救うことなどできるはずはあるまい。だが、うつ病を発症して友達付き合いもめっきり少なくなっていった彼を、なぜボクは突き放すような真似をしてしまったのだろうか? なぜ、軽い気持ちで会いに行かなかったのか? ボクが顔を出すことで、少しでも彼の想いを変えることだってできたのではないだろうか?

もう7年近く経つと思うが、そんな後悔が後をたたない。

誰だって追い込んでしまう可能性もある

この本にあったことは、今まで何度かメンヘルの話を聞いてきたので、だいたいわかった。しかし、天気の調子(特に台風)で気分の浮き沈みが激しいと言うことは知らなかった。そして、誰だってなる可能性はある。また、知らないうちに追い込んでしまうこともある。

ボクは、去年までとあるところに出向していた。そこで、別の二人の人とチームを組んで開発をしていたわけだが、そのうちの一人から「あの時、実は病院に行ってて、薬を飲んでいた」と言う話を聞かされた。もちろん、そんなに追いこんでいたつもりはない。しかし、ボクには人を見捨ててしまう、もしくは邪険に扱ってしまう悪い癖がある。そういうところが、彼を一歩手前まで追い込んでしまったのかもしれない。

当たり前の事だが、I君のような事を2度と繰り返したくはない。そのためには、自分もうつ病に対しての正しい知識をつけないといけない、と考えさせられた本でした。

マンガですが、おすすめです。